2020年9月の記事一覧

窓内の円

2019.02月号より,文 Юрий Белецкий +図 Алексей Вайнер

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


■オデッサ州立フィルハーモニー協会(建築家-A.I.ベルナルダーツィ)
の窓は,円と弧のパターンで装飾されています.
この窓は,すばらしい幾何学問題を提供しています.

白板に描いたように,小さな3つの円の中心O1O2O3は1つの直線上にのります.証明してください.

 

 

 

 

 

 

 

 

■この問題をみて思い浮かべるのは,以前掲載した以下の2つの記事です.
アポロニウスの窓,アルべロス(靴屋のナイフ)という形のなかに面白い幾何学世界があります.
反転の利用ーパップスの定理
https://note.com/sgk2005/n/n56056054e23c

インドラの網と反転円
https://note.com/sgk2005/n/nec1396b13bd4


アルべロス(下図のオレンジ色の形)の中で,パップスの定理が成立しています.しかし,円ω_{2}と円ω_{1}の中心を結ぶ線は,水平ではありません.

 

 

 

 

 

 

いま問題になっているオデッサの窓内の円では,O_{1},O_{2}を結ぶ直線は水平になるのですが,その原因は,外側の大きな円(半径r)内で重なり合う2つの円(半径ar)に接するように,半径xrの円を決定することによります.しかる後に,この半径xrの円に接するように,半径yrの円を描くと,この円の中心は半径arの中心線上に存在するようです.
問題のオデッサの建物図では,a=2/3(大きな円の直径を3等分する位置に柱がある)のようですが,実は,同じ半径の円が重なっていれば(任意の1/2<a<1)成り立つようです.

 

接する4つの円の半径の間にはデカルトの定理という式が成り立ちますが,それを計算するのは容易ではありません.幾何で解くことにしました.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

円の接する条件を図示すると,辺の長さが,1-x,1-a,a+y,x+yの4角形になります.4角形の対角線は,a+x,1-yです.この条件は関係する円が接するための条件です.1-xの辺が垂直なのは対称性から明らか,半径yrの円の中心と,半径arの円の中心を結ぶa+yも垂直として,xyを解くと,

 

このx,yを用いて,互いに対向する辺の長さを求めると,互いに等しいことが証明でき,矛盾は出ません.

 

従って,この4角形は長方形になり,辺x+yは水平であることがわかります.

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